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百物語コンテスト No32~No41

2015/9/14

 No32~No41

No32 投稿者: 伊藤 恵子 様


本文
まだ新しいマンションに引っ越した頃の話です。
近所で若い奥さんを知り合いになりました。その奥さんは最近2歳になる娘さんのことで悩んでいると言うのです。
 
トイレトレーニング中なのに夕方から夜、トイレに行ってくれないらしいのです。
そしてある夜。
4mほどの廊下の向こう側にある玄関に向かって、その2歳の娘さんは、
「ジイジおいで。ジイジおいで。」と、手招きするのです。
母親である若い奥さんは、
「ジイジなんていないよ?」と事実を軽くいっただけのつもりだったのですが、
娘さんは急に怯えだして泣き出し、手に負えなかったそうです。

お宅にお邪魔する機会があったので予め「私には除霊は出来ない」ことを伝え様子を見させて頂きました。
見てみて、コップに水を8分目いれて、白い小皿に盛塩をして、玄関の子供の手の届かないところに置くように伝えました。
誰も触らないようにと。

次の朝、早めにお宅にお邪魔してみました。
奥さんの顔色はすぐれず、コップの水が半分以上減っていたと不安そうに話してくれました。
誰もイタズラしたり触ったようすはなかったとのことです。

「あぁ、居るんですね。」と思いましたがあえてそれは口を閉ざして。
「水と塩を続けてみて。何か変化があると良いのだけど。」それだけ伝えてその日は帰りました。

翌明け方頃だと思います。
意識がはっきりしている感覚になりました。眠っているはずなのに。
夢を見ているような不思議な感じ。
すると、
見ず知らずの中高年あたりの男性が私に語り掛けて来ました。
「水と塩をおくように指示したのはあんたか?」
「そうです。」間髪いれずにそう応えました。
「なぜ、そんなことをする?あれでは私はあの場所に帰れなくなる。」
と彼は言うので、
「あの家は貴方の帰る場所ではありません。今あの家に住んでいる方が困っています。」
そうすると彼は、
「あの家は心地よかった。私は家族をずっと探している。疲れたらあの場所に戻っていた。」
それからいろいろな話を聞かせてくれました。
どうやら戦時中に家族と一人離れて軍事工場で働いている時に病死をしてしまったようなのです。
それで家族を探していると。

そして彼はいいました。
「迷惑を掛けるつもりはなかった。あの場所には二度と戻らない。だけど・・・私がいたと言う証を足の親指にキズとして付けたい、付けたいが貴女には守りがついている。だから付けられない。」
そう彼がいうのと同時に私はすっかり目が覚めてしまいました。
いつもと変わらない朝のようでした。

その日、奥さんのお宅へ行きました。
今朝方のことを話、もう来ないから大丈夫だということ、そして足の親指に証をつけたかったと言ったこと。
全部話終わると奥さんの顔はすっかり青ざめてました。
そして、
「ウソ!!ヤダ、怖い!どうしよう!!」
少し取り乱した感じで私にしがみついてきました。

もう大丈夫だからと宥めながら話を訊くと、
お風呂を洗おうと朝方に風呂場へいき靴下を脱ぎシャワーを出した時に床に一緒に血が流れてびっくりしたと。
それが自分にはまったく覚えなおない足の親指のキズだったのです。

「キズは痛む?」と訊くと、
「大丈夫、ほとんど痛くない。痛くないけど・・・。」
と不安そうでした。
とにかく大丈夫だということを話て、落ち着くまで話を聞いて。

それから3日程たって奥さんに会ったのですが、あれから娘さんは昼夜とわずトイレトレーニングをしてくれるようになり、沈んだ雰囲気もないと元気そうでした。とりあえず良かった。

ただ、
あの彼は家族と会えたのだろうか?
ご先祖様なり、ご家族なり、お迎えに来てどうか成仏していますようにと願いました。

No33 投稿者: スキ屋のあんどん 様


本文
昔住んでた家がすごいボロくて夏は蒸し暑いし冬は寒いし隙間風も酷かった。
そんな家で夜中に目が覚めると誰かがお風呂に入っていたり(確認したいが怖くて確認できない)
足元でいろんな動物達の鳴き声が凄くしたり、天井裏を何か大きな物が這いまわっていたりしてた。
解決の方法も分からずずっと耐えて過ごしてました。
17年ほど住んだけどとにかく怖かった

No34 投稿者: ゲートキーパー 様


本文
「お姉ちゃん」
今から10年程前の事です。当時自分はある病気を患い長期入院をしなければならなくなった時の体験談です。
入院から1ヶ月ぐらい経った頃のことです。体調が回復に向かいだし歩いたり普通に食事をしたりできるようになって
これなら予定より早く退院できたり?なんて考えるぐらいに余裕も出てきて、昼は病室の方や研修に来ている看護師さんが話し相手になってくれるので
暇をすることがないのですが夜になって身体も回復してきている当時まだ学生の自分は消灯時間の21時を過ぎても眠ることが出来ず夜になって
昼間とは違う診察室前や食堂前を冒険気分で散歩をし院内をあちこち見て回って「夜の病院」というのを味わっていました
(1ヶ月以上入院していると案外慣れてくるんですよ?怖いって思うかもしれませんが灯りは少し着いていますし)
そんな冒険気分も回りきってしまえば終わるもの。暇つぶしは無いかとナースステーションで看護師さんの邪魔をしないのを条件に
端っこの邪魔をしない場所に座って話す許可をいただいた頃です。その日も23時ごろになっても眠くならず看護師さんと話をしていたときでした。
「お姉ちゃ~~ん」と個室になっている病棟の方から声が聞こえてきました。耳を澄まして聞こえるのではなくハッキリと「お姉ちゃ~~ん」と
呼ぶ声がするのです・・・老婆の声で。自分のいる病棟には痴呆の方もいらっしゃったのでその方が看護師さんを呼ぶ為に大きい声で呼んでいるのだと最初は思いました。
しかし、その声を聴いても自分以外に反応する看護師さんはいなく不思議に思いきいてみました。
自分「かなり大きな声で呼んでますけど、何かあったんじゃないですか?」
看護師「ああ。いいのいいの気にしなくて」
自分「いや、でも・・あんな大きい声だとこの時間じゃあ・・・」
看護師「すぐに止まるから放っておいていいわよ」
自分「止まるんですか?」
看護師「そ、止まるの。気にしないで早く寝なさいよ?」
自分(止まるって・・・いかなくていいのか?巡回の看護師さんだっているだろうけどこんなに呼んでるのに・・・あ~痴呆の方なのかな~?それでも見に行かないって・・)と思っていました。
確かに5分ほどでその声はピタリと止みほ~ら寝た寝たの看護婦長のお言葉を頂戴し、自分の病室に退散しました。
しかし、次の日からは聞こえず1ヶ月以上もいて初めて聞いたのでたまたまなのか?と自分の中で納得しかけていました。
ですがそれから1週間ほどたちまた同じ時間23時ごろでした「お姉ちゃ~~ん」またあの声です。(あ~またかと自分もそう思っていました)
自分「また呼んでますね、よっぽど優しいお姉さんなんでしょうかね~」
看護師「そうだったみたいよ~何せ毎日お見舞いに来られてよく面倒をみてらしたわね~」
自分「へぇ~自分は見たことないですけど優しいお姉さんですね、妹さんも頼ってしまうんでしょうねって・・・そうだった?」
看護師「・・・・亡くなっているのよ・・・」
自分「お姉さんが・・・ですか?」
看護師「いいえ・・・この声の方ちょうど今のこの時間帯にお姉さんを呼びながらね・・・」
自分「・・・・・え・・・・あの。じゃあこの声って・・・」
看護師「さあ。気にしない貴方は寝る!」
その後は聞いても聞いても教えてはくれませんでした。やはり気になるもの、昼間にその聞こえた病室を探してみると・・・
そりゃ見に来ないよね・・・20部屋ぐらいある個室の病室奥の16室は人がいるんだけど、不自然に4部屋だけぽっかりと空き室になって誰も入院患者なんていなかったんだから・・・・。

No35 投稿者: 天使小僧 様


本文
【あの世へのトンネル】
 もう数年も前の話です。とある海辺の町に友人と二人で旅行した時の話です。
私たちは海があり背には山もある風光明媚な田舎町にやって来ていました。
その町には海岸線に沿って遊歩道が整備されていて、私たちはその遊歩道を散策することにしまして。
天気は快晴で秋も深まっていた時期なので紅葉もきれいでした。
紅葉を楽しみながら歩いて行くと海が見える眺望の良い少し開けた場所に差し掛かりました。
少しの時間休憩がてらそこからの景色を楽しんでいました。すると突然濃い霧がたちこめ始めました。
遊歩道が後どのくらい続いているかもわからなかったので、来た道を引き返そうということになりました。
するとトンネルがあるのです。先ほどは景色に気を取られ気づかなかったのかと不思議に思いましたが、
数人の方の影がトンネルの中へと入って行くのが見えました。そして友人も行ってみようといって歩き始めたので私も追いかけました。
友人がトンネルの中に消えていき私も入ろうと思った瞬間に横から突き飛ばされてしまい気を失ってしまいました。
気づくと霧は晴れていてベンチに横になっていました。近くには友人の姿は勿論トンネルもありませんでした。
友人を捜しましたがトンネルはおろか友人も未だに行方不明のままです。あのトンネルはなんだったのか。
そして横から突き飛ばした力はなんだったのでしょうか?。もし突き飛ばされずトンネルへと足を踏み入れていたらと思うと震える思いです。

No36 投稿者: 菜の花畑 様


本文
『よし、今日もゲームするか!』
いつものように2台のパソコンの前に座り電源を入れた。
2キャラを同じ場所に立たせて仲間とチャットを楽しんでいると、ふと違和感を覚えた。

『あれ・・・あのキャラなんであっちのパソコンではこっち向いてんだ?』
同じ方向から見てるはずなのに、画面に映る他人のキャラが後姿と前向きになってた。
おかしいな、とは思いながらもそのままチャットを続けてると
片方のパソコンの画面に異変が起きた。

あきらかに近づいてきてる。
後ろ姿のパソコンのキャラは一歩も動いてないのに・・・。
何度名前を確認しても、そのキャラはどちらも同じキャラだ。
何かがおかしい。
小さな姿だったのが、今は口の動きまで分かるぐらい近づいている。
『あ そ ぼ 』
繰り返しそう言ってるように見える。


気味が悪くなりゲームを落とそうと近づいてくる方のパソコンに手を伸ばした瞬間、
意識が無くなった。
目を覚ますと辺りはすっかり暗くなっていた。


何かの視線を感じ片方のパソコンに目をやると・・・
画面いっぱいの2つの目が・・・こっちを見ていた。
まばたきをすると、画面は真っ暗になった。
訳が分からず、チャットでみんなに説明していたら今度は背後に違和感を感じた。


あの言葉が聞こえる。

『あ そ ぼ 』

怖くて後ろを振り向けない・・・。
誰か、助けて・・・。

No37 投稿者: Ragazzo 様


本文
 踏切で待つ女に近づいてはいけない。

 ある夕方のこと。
 西日がキツくて、往来の人影も確認できない夏の日。
 私はとある踏切に差し掛かった。

 じっとこちらを見ている女がいる。
 赤いワンピースを着て、顔は伏せ気味でうかがい知れない。

「一緒に渡ってくれませんか」

 カンカンカンカンと警報機が鳴る。

「途中までは一人でいけるんですけど...」

 警報機の音で声を聞きのがす。
 変わった子だな、とは思った。
 でもどうせこの踏切を渡るんだし、同道するくらいいいか、と私は快諾した。
 女は白い歯をのぞかせ嬉しそうにした。
 可愛い子じゃないか。
 そして意外と大胆に私の腕をとって組んだところで、遮断機が上がった。

 ぐいぐいと引っ張られる私。
 周りがついてこないのを不思議に思った次の瞬間、大変なことに気が付いた。


 警報機は鳴りやんでいなかった。

No38 投稿者: ごんたろう2014 様


本文
【上ってくる】
これは私が学生時代に体験したことです。
通っていた、とある地方都市の中学校のグランドの片隅に古びた二階建ての木造校舎が建っていました。
それは技術棟と呼ばれる建物で、男子学生は技術の授業をそこで行うことになっていました。
担任教師の担当教科が技術なこともあり、その校舎の掃除は私たちのクラスがする決まりになっていました。
掃除といっても普段それほど使用されている教室でもなく、また授業の後には簡単な掃除をしていましたから汚れているということもなく。
その技術棟の掃除当番の時は、どちらかと言うと「さぼれる」という感じでした。
誰が決めたわけでもないのですが、一階を男子生徒が、二階を女子生徒が掃除することになっていました。
その日もいつもと変わらずに、私たちは一階の廊下で丸めた雑巾とホウキで野球に興じていました。
校舎の片側は林のようになっていて、教室の窓を開けておけば気持ちのいい風も入ってきます。
そろそろ終了の時間も近くなり、いつもでしたらきゃあきゃあ言いながら二階から降りてくるはずの女子生徒達が、その日はなかなか降りて来ませんでした。
教室に戻るのがあまり遅くなれば怒られると思った私たちは二階へと上る階段の下から「なにやってんだよ」と声をかけました。
その階段は5~6段も上ると踊り場になり、そこで一度向きを変え二階へと続くのですが返事のない女子生徒を不思議に思い、数人で踊り場まで行ってみると・・・。
ちょうど階段を上りきった所に女子生徒が全員、恐怖の表情で立ち尽くしていたのです。
「おい、時間になっちゃうだろ、早く来いよ」
そう言いながら、一歩踏み出そうとした時でした。
「いやっ、来ないでっ!」
女子生徒の一人が叫びました。その声に釣られたかのように、次々と悲鳴のような声が上がります。
「なんだよ、怒ってねーじゃん」
「ダメ、そこダメだって・・・」
意味がわからず、とにかく降りてこいと言おうとした私たちに、その中で一人、冷静だった女子生徒が言うのです。
「ねえ、聞こえてないの・・・?」
「何がだよ」
「階段、ギシギシ言ってるのわかんない・・・?」
言われて、注意深く周囲の音を聞いてみれば、何かがきしむ音がしました。
私たちは踊り場に、ただ立っているだけです。
女子生徒は二階から階段を見下ろして立ち尽くしているだけです。
しかしその音は確かに、その古い木造校舎の床か何かがきしんでいる音なのです。
「・・・・・・そこ、いるの」
女子生徒が指で指示したのは、踊り場から二階へ向かう階段の途中。
いる、と言われても何がいるのかその時の私にはわかりませんでした。
「ヤバイよ、もう上って来ちゃうよ・・・」
半分泣きそうな声でつぶやいた女子生徒は、意を決したように「行こう」と周りに声をかけました。
いやだ、とかダメだとか、言葉にならない悲鳴を上げながら女子生徒たちはいきなり階段を駆け下りて行きました。
全員が一階に降りた時です。
いる、と言っていた女子生徒が私たちに向かって「早く降りてきてっ!!」そう叫びました。
ふと、私は後ろを振り向いてしまいました。
そこには、黒い何か・・・
私たちと同じ制服のズボンをはいた下半身だけが、階段をきしませながらゆっくりと降りて来ていたのです。
女子生徒たちが見ていたのは、これだったのでしょうか。
声にならない悲鳴を上げて、私も階段を駆け下りました。
半ばパニックになった私たちはそのまま木造校舎を飛び出し、外へと向かいました。
女子生徒たちが言うには、二階の教室で怪談に興じていたところギシギシという音が聞こえて来たらしく男子が迎えに来たのかと思い階段へと行くと、上ってくる黒い下半身が見えたのだそうです。
その後、私たちは何度も授業でその校舎を使用しましたが二度とあの下半身を見ることはありませんでした。
女子生徒たちは掃除当番の時であっても、決して二階へと上がろうとはしませんでしたが・・・・・・。

No39 投稿者: あっちゃん 様


本文
【病院の公衆電話】
今から15年前くらいの話です。

当時わたしは、ある病院に勤務しながら看護学校に通っていたころの話です。
わたしは入院病棟勤務でした。
ある日お昼ご飯を患者さんに配っていました。
配ってる最中にひとりの患者さんがいないことに気が付きました。
病棟を探していると、廊下の突き当りの窓が開いていたので下を見ると・・・
いなくなった患者さんが仰向けで地面に落ちていたのです。
わたしは怖くてたまりませんでした。
すぐに主任看護師に知らせて下に降りました。
残念ながら3Fから転落していたため、患者さんは亡くなっていました。
わたしは運ぶのも手伝わされましたが、その際に手袋はしていましたが、転落で後頭部が割れてしまっていて指が脳かな?っていうものに触れたりしました・・・。

わたしの勤務している病院にはナースステーションからすぐ見える位置に公衆電話を設置していました。
数週間が経過したある日夜勤をしていると、誰もいないのに突然・・・
公衆電話をテレホンカードでかけ終わってカードが出てくる「ピッピーピッピー」という音が深夜の病棟に響いたのです・・・。
もちろん誰もいません。
受話器もあがっていません。
通話が終わり電話を切ってテレホンカードが出てくる音だけが聞こえるのです。
それは長い期間続きました。
あまりの不可解な現象に職場を辞めて行く看護師も数名いました。

わたしは看護学校を卒業後その病院は辞めましたが、今でもあの音は鳴っているのでしょうか・・・

「ピッピーピッピーッピッピー」っと・・・・

No40 投稿者: 稲川淳じない 様


本文
聞いていたよりも少し長い髪と上品さを感じさせる身なり。完美世界で知り合った彼女は都会で育ったらしく、僕のような田舎臭さを感じさせない。
だからこそこんな鹿とお寺しかないような辺境の地に興味を示してくれたのだろうか。はじめての、デートだ。鹿と戯れる彼女から漂ってくる柑橘系の香水。お嬢様のような仕草は虜になるのに十分だった。
鹿のいる公園を抜け、古民家の並ぶ路地を進んでいくと悠久の歴史を持つお寺がそびえる。その道はやや長く、浅薄な知識を披露するにはうってつけだ。
鹿のこと、寺のこと、自分のこと、歩きながら必死に脳を回転させて話をした。時折交える冗談に白い歯を見せてくれた。幸せだった。
しかし、その幸せを捻りつぶすがごとくゲリラ豪雨。大粒の雨が一寸刻みに路地を塗っていく。傘はない。雨宿りできそうなお店もない。
見渡すと戸を開けている古民家があった。誘われるように入った。家主に事情を説明しようと人気を探すが、気配が微塵もない。すみませんの呼びかけも虚に消える。
おかしい。灯りもなく、薄らとした暗さは実に気味が悪い。雨が止むまでの辛抱だ、と彼女に言い聞かせて玄関に座ることにした。住人の靴らしきものはなく、
緒の切れた小さい草履が一足。邪推はしたくないが、先の住人のものだろうか。ドア越しに篠突く雨の音が聞こえる。
彼女は震えていた。心配して声をかけるが、唇をゆらすだけ。そこにはお嬢様らしさはない。僕も不安になる。静寂の中、雨音に混じって何かが聞こえる。
痛い、痛い...と、耳からではなく脳に呼びかけるような声。恐る恐る見渡すが薄暗くてよくわからない。
ガタッ。奥から聞こえてくる物音。何かがいる。もう恐怖に耐えられない。汗に濡れた手で戸を触る。...開かない。鍵なんてないのに。渾身の力で押しても引いてもダメだ
。雨音の合間に聞こえる物音がだんだん大きくなってくる。塞ぎ込んでいた彼女が立ち上がった、だが様子がおかしい。痛い、痛い...と言っている。
僕の声にも反応しない。彼女は戸に向かって精一杯のタックルをした。木製の古い戸は倒れ、彼女とともに大雨の路地に投げ出された。その瞬間雷が彼女を襲った。飛び出した眼球が僕の前に転がってきた。

No41 投稿者: Blatt 様


本文
 私の同級生が実際に体験した話です。

 彼氏の廃屋めぐりでいろいろな場所に行きましたが、その最後の訪問先でのこと。
 明治時代に建てられた洋館で、まあ、廃屋ですから見た目はヤバいのですが、行きなれた目で見ると調度品や建物など少しすごいなっていうのが伝わってくるくらい。
 彼氏はいつも通り一人で興奮して写真を撮っていたので、勝手に寝室の一つで休憩していました。

 そのサイドテーブルとランプが可愛い作りだったのでぼおっと眺めていて、ふと前に視線を戻すと...
 何かがいます。
 ツインベッドの向こう側。
 ぬいぐるみほどの大きさ。
 全身真っ白な芋虫に前足と後ろ足がついたような姿で、口もあります。

 あまりに近すぎて体を硬直させたまま震えていました。
 すると、汚らしい黄ばんだ涎を垂らしながらもごもごしていたのが、こっちを見止め。
 にいっと笑いました。

 生理的な嫌悪感を覚え、これはまずい、逃げなければと思ったとき。
 全身を飴細工のように伸び縮みさせながら同じようなものが3つ、5つとベッドに上がってきたのです。
 そして最初のにかみつくと、一斉にこちらを向き。

(まずい!)

 どっと襲い掛かってきました。
 気づいていませんでしたが、横からも、後ろからも。
 二回目だったので態勢が整い、躱すことができたのですが、いきなり襲われていたら...。
 あとはもう、叫び声をあげながら隠れるところを必死で探しました。
 ですが老朽した洋館で隠れる場所なんてうまく思いつきません。
 しかし息は上がってきます。
 這う這うの体でトイレに逃げ込み、個室の一番奥に閉じこもりました。

 ややの静寂。

 匂いはたどれるのかな、声を上げなければよかったかな...
 手を当てて必死に息を押し殺しながら鼓動が冷静を取り戻していくのを感じます。
(そもそもあれは何?)
 浮かんでくる疑問をかみ殺します。
 そんなの知りたくもない。
 一刻も早くここから逃げ出したい。
 そんなことを思ったとき、トイレのドアがギィッと開く音がしました。

 もう、パニックです。

 ドンドンドンドン!

 一番向こうの個室からドアを叩く音。

 ドンドンドンドン!

 隣の個室です。
 次はここ...
 身構えましたが、音はしません。
 しかし、頭に何か降りかかるものを感じ、天井を見上げると。

 10匹からさっきの白いものがぶら下がり、涎を垂らしています。

 一匹、また一匹と体に落ちてくる中、自分で閉めた鍵を開けられずにガチャガチャと揺さぶります。
 怖気に負けそうになりながらトイレから駆け出し、服の上から体をかじられながら振り払いました。
(そうだ、玄関、逃げ出すなら玄関ホールに行かなきゃ)
 そしてそこには、驚いた顔の彼氏の姿が。

「どうしたの?幽霊でも見たの?」

 腰を抜かしそうになりながらしがみつく体を抱き起しながら、彼氏はにいっと笑いました。

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